不動産会社の建設業許可取得について
建設工事をしていない不動産会社でも、建設業許可を取ることは可能です。
建設業法では、建設業を営むためには、建設業許可を受ける必要があるとされています。
不動産会社であっても建設工事を外注する可能性を考えている場合などのケースで建設業許可を取得している不動産業者もあります。
- 建設業許可を取得するには、次の要件を満たす必要があります。
- 専任技術者(2級以上の建築士、1級土木士、1級測量士など)を有していること
- 一定の財産的基礎があること
- 一定の経営能力があること
- 建設業法施行令では、次の工事は建設業に該当しないとなっています。
- 自家用工作物に関する工事
- 建設現場への労働者派遣
- 剪定、除草、草刈り、伐採
- 道路、緑地、公園、ビル等の清掃や管理
- 建築物、工作物の養生や洗浄
- 施設、設備、機器等の運転管理や保守点検
- (電球等の)消耗部品の交換
これらの工事を行う場合であれば、わざわざ建設業許可を取得する必要はありません。
建設業許可要件の詳細
建設業の許可を受けるためには、建設業法第7条に規定する4つの許可要件を備えていること及び同法8条に規定する欠格要件に該当しないことが必要です。
- 経営業務の管理責任者等の設置(建設業法施行規則第7条第1号)
- 建設業の経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有する者、建設業の経営業務について一定期間の経験を有した者が1人は必要です。
- 適正な社会保険への加入(建設業法施行規則第7条第2号)
- 健康保険、厚生年金保険、雇用保険など
- 専任技術者の設置(建設業法第7条第2号、同法第15条第2号)
- 営業所ごとに許可を受けようとする建設業に関して資格または経験を有した者である専任技術者を設置することが必要です。
- 当該の営業所に常勤していることが必要です。
- 許可を取得した後に専任技術者が不在となった場合、許可の取消しの対象になります。
- 財産的基礎など(法第7条第4号、同法第15条第3号)
- 建設業の許可が必要となる規模の工事を請け負うことができるだけの財産的基礎等を有していることを許可の要件としています。
- 一般建設業の場合は、次のいずれかに該当すること。
- 自己資本が500万円以上であること
- 500万円以上の資金調達能力を有すること
- 許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績があること
- 欠格要件(建設業法第8条、同法第17条)
- 破産者で復権を得ないもの
- 禁錮以上の刑に処せられた者など
一般建設業許可取得のメリット
一般建設業許可を取得すると500万円以上の工事を請け負うことができます。
500万円以上の工事は、ビルやマンションの建設、道路や橋の整備など、規模の大きな工事です。
一般建設業許可を取得することで、これらの工事を請け負うことができるようになります。
さらに、特定建設業許可を取得すると元請の立場で、下請業者に4,000万円以上の工事を発注することができるようになります。
また、一般建設業許可は、建設業法に基づくものであり、経営状態や技術が一定以上の基準を満たしていることを証明するものになっています。
一般建設業許可を取得することで、社会的な信用度が向上して取引先や顧客からの信頼を得やすくなるという効果もあります。
特定建設業の許可の場合
特定建設業の許可の場合は、国家資格者と一般建設業の許可を受けようとする場合の専任技術者要件を満たしている者で、許可を受けようとする建設業に関して、発注者から直接請け負い、その請負代金の額が4,500万円以上であるものについて、2年以上の指導監督的な実務経験を有する者となっています。
- 特定建設業許可の取得に関して財産的基礎などとして、次のすべてに該当することが必要です。
- 欠損の額が資本金の20%を超えていないこと
- 流動比率が75%以上であること
- 資本金の額が2,000万円以上であり、かつ自己資本の額が4,000万円以上であること