建設業許可業者には、毎事業年度終了後4カ月以内に決算報告、建設業用に決算変更届を提出することが義務となっています。
決算報告、決算変更届の提出とは
建設業許可を受けた建設業者は、毎事業年度終了後の4箇月以内に工事経歴書、財務諸表などを「決算変更届」として提出しなければなりません。
決算変更届を提出しない建設業者は、建設業法第50条で罰金刑などの対象となる場合があるほかに、経営事項審査を受けられずに公共工事等に参加できないこととなりますので、必ず法定期限を遵守して提出します。
決算報告の件
建設業でいうところの決算報告(決算変更届の提出)と、決算の時に、税務署に対して行う申告とは、全く別です。
建設業の決算報告(決算変更届の提出)は、建設業許可の許可行政庁に対して提出します。
- 建設業の決算報告と税務署に提出する申告との違いは次のとおりです。
- 建設業の決算報告は建設業者の経営状況を把握し、建設業許可の適正な運用を図っています
- 税務申告は法人税、所得税、消費税などの税金を算出するのが目的です
- 建設業の決算報告は建設業法で定められた財務諸表(貸借対照表、損益計算書、財政状態計算書)です
- 税務申告は税務署で定められた申告書(法人税申告書、所得税申告書、消費税申告書)となります。
提出時期
建設業許可を取得した事業者の場合は、毎年事業年度終了後の5カ月以内に決算報告を行うことが義務付けられています。
建設業法第11条2項
許可に係る建設業者は、毎事業年度終了の時における第六条第一項第一号及び第二号に掲げる書類その他国土交通省令で定める書類を、毎事業年度経過後四月以内に、国土交通大臣又は都道府県知事に提出しなければならない。
許可の手引きなどによれば、毎年必ず決算報告の届出が必要です。
決算変更届は、ほとんどの都道府県で毎事業年度経過後4カ月以内となっています。
提出書類の種類
- 建設業許可を受けた建設業者の決算変更届の書類は次のとおりです。
- 変更届出書
- 工事経歴書
- 直前3年の各事業年度における工事施工金額
- 財務諸表
- 事業報告書(特例有限会社を除く株式会社のみ)
- 法人事業税納税証明書
財務諸表は、税理士などで作成したものを持って行っても受付してくれません。
建設業法用に変更しなければならなりません。
決算変更届を提出しない場合
建設業法による罰則
建設業法による罰則が科される可能性があります。
建設業法第50条では、決算変更届の提出が遅れた場合、6か月以下の懲役または100万円以下の罰金、またはその併科が規定されています。
建設業許可
建設業許可の更新ができなくなります。
建設業許可の有効期限は5年間です。
5年ごとに更新手続きが必要となりますが、決算変更届が提出されていない場合は、更新手続きが受理されません。
業種追加
決算変更届を毎年、提出していないと業種追加ができなくなります。
般特新規申請
般特新規申請ができなくなります。
般特新規は、「一般」の許可を「特定」の許可に変更する申請です。
「特定許可」は、欠損比率、流動比率、資本金額、自己資本が、許可要件となっています。これらの財産的要件は、直前決算期の決算報告の書類が必要です。
決算報告をしないと財産的要件が確認できません。
般・特新規申請とは、事業拡大もしくは事業縮小に伴って、建設業許可を持っている者が一般もしくは特定へと切りかえる、追加する手続きのことです。
経営事項審査
経営事項審査を受審することができません。
経営事項審査は、建設業者の経営状況を審査して、公共工事などの入札参加資格を判断するための制度です。
決算変更届が提出されていない場合、経営事項審査を受審することができずに、公共工事などの入札に参加することができません。
入札参加資格を取得することができません。
経営事項審査を受審できないのであれば、公共工事の入札参加資格を取得することもできません。