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経営事項審査の概要や手続きの他に経営状況分析やP点算出なども解説

経営事項審査

経営事項審査の基礎知識

経営事項審査(経審)とは

経営事項審査とは

経営事項審査とは、公共性のある施設、または工作物に関する建設工事を発注者から直接請け負おうとする建設業法第3条第1項の許可を受けた建設業者が必ず受けなければならない審査です。

公共工事の各発注機関は、競争入札に参加しようとする建設業者についての資格審査を行うこととされていて、当該の発注機関は欠格要件に該当しないかどうかを審査したうえで、客観的事項と主観的事項の審査結果を点数化して、順位付けされて格付けされることになります。

客観的事項の審査が経営事項審査といわれる審査制度であり、この審査は経営状況と経営規模、技術的能力その他の客観的事項、いわゆる経営規模等評価について数値により評価するものです。

経営状況の分析は、国土交通大臣が登録した経営状況分析機関が行っています。

公共工事の仕組み

公共工事とは、国や都道府県、市町村などの公共団体が、道路や橋などのインフラの整備や、公共施設の建設や改修などの目的で、発注する工事のことです。

公共工事の発注は、原則、競争入札によって行われます。競争入札とは、複数の業者から見積りを取って最も有利な条件を提示した業者に工事を請け負わせる方法になります。

  • 公共工事の入札には、次の方法があります。
    • 一般競争入札
      • 資格審査を通過したすべての業者が参加できる入札方式です。一般競争入札は最も公平な入札方式となります。
    • 指名競争入札
      • 発注者があらかじめ指名した業者のみが参加できる入札方式で指名競争入札は、技術力や実績などが一定の業者に限定して入札を実施します。
    • 随意契約
      • 発注者と特定の業者とで自由に契約を締結できます。緊急の工事や、高度な工事など、一般競争入札や指名競争入札では対応できない場合に使われます。

公共工事は生活に欠かせないインフラ整備を担う重要な工事ですが、公共工事には、不正入札や談合などの問題も指摘されていますのでこのような制度ができています。

経営事項審査の結果通知書

経営事項審査の結果通知書は、経営事項審査を受けた建設業者に対して発行される書類です。

経営事項審査とは、公共工事を発注者から直接請け負う建設業者が必ず受けなければならない審査です。

経営事項審査と手続き

決算変更届の提出

建設業の許可を持っている事業者は、決算期から決まった期間内に許可権者に決算変更届を提出します。

決算変更届を提出していない事業者は、経営事項審査を受けられません。経営事項審査の予約もすることができません。

経営状況分析の申請

経営状況分析申請とは、経営事項審査を受ける時に必要な提出書類である経営状況分析結果通知書を取得するために必要な申請になります。

経営状況分析申請をすると経営状況分析結果通知書が取得できますので、経営事項審査を受ける前に、経営状況分析申請をしておきます。

経営事項審査の予約

経営事項審査を受けるには予約が必要です。経営事項審査を電子申請する場合であれば、予約は必要ありません。

予約をするには、決算変更届を提出して、決算変更届に受付印が押されていることが条件となります。

経営事項審査の受審

予約をしたら、予約日に経営事項審査を受けに行きます。

経営規模等評価結果通知書、総合評定値通知書の受領

経営事項審査が終了したら経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書を受領します。

この結果通知書には、総合評定値(P点)が記載されています。

経営事項審査の総合評定値のP点とは、経営規模、経営状況、技術力、その他の審査項目(社会性)を総合的に評価した点数のことです。

  • 総合評定値のP点は、次の4つの評価項目の点数を合計して算出されます。
    • 経営規模(X1、X2)
    • 経営状況(Y)
    • 技術力(Z)
    • その他の審査項目(社会性)(W)
  • 経営事項審査の各評点は、制度設計時点で700点が平均になるようになっています。
    • X1:完成工事高
    • X2:技術者数
    • Y:自己資本比率、利益率、労働生産性
    • Z:施工管理技術者数、施工技術力、技術開発力
    • W:労働福祉の状況、若年の技術者及び技能者の育成及び確保の状況、知識及び技術又は
    • 技能の向上に関する取組の状況、地域貢献の状況

総合評定値のP点は、公共工事の入札参加資格の格付けに使われます。

総合評定値のP点が高いほど入札参加資格の等級が高くなって、高額な工事の入札に参加できるようになります。

経営事項審査を受けたあとの入札参加資格申請

入札に参加するには、入札参加資格申請する必要があります。

当該、最寄りの役所について

入札参加資格を取得するには、経営事項審査の結果が出た後に、当該のその役所に対して入札参加資格申請をします。

経営事項審査の有効期限

入札参加資格を維持し続けるには、毎年、受けなければなりません。

経営事項審査の有効期限は1年7カ月となっています。これは経営事項審査を受けた日からではなくて、決算日からですから注意が必要です。

経営事項審査を受けるための準備、決算変更届

決算変更届の提出期限

決算変更届の期限

決算変更届の提出期限は、事業年度終了後4カ月以内です。

決算変更届の提出が遅れれば、経営事項審査申請も遅れます。

経営事項審査は、直前決算期の業績に対して行われますので、過去の決算期について行うことはできませんから注意が必要です。

決算変更届を提出に必要な書類

  • 決算変更届を提出に必要な書類は次のとおりです。
    • 変更届出書
    • 工事経歴書
    • 直前3年の各事業年度における工事施工金額
    • 財務諸表
    • 事業報告書(株式会社のみ)
    • 法人事業税納税証明書

決算変更届を提出時の注意点

税抜き表示

「工事経歴書」「直前3年の各事業年度における工事施工金額」「財務諸表」は、税抜表示で作成します。

工事経歴書の記載方法

元請工事の完成工事は、当該の完成工事に係る請負代金の額の合計額の約7割を超えるところまで、請負代金の大きい順に記載するようにします。

工事経歴書の上位3件について

工事経歴書の上位3件は、経営事項審査の時に契約書や入金通帳で金額や施工期間と工事内容をチェックされます。

経営事項審査を受けるための準備としての経営状況分析

経営状況分析の概略

経営状況分析について

経営状況分析は「建設業者の経営状況を分析」して、経営事項審査に必要な結果(Y点)を出すことを目的としています。

経営事項審査を申請するためには、経営状況分析の結果通知書が必要になります。

経営状況分析の結果通知書には、建設業者の経営状況を分析したY点という点数が記載されています。

Y点を含めた項目などで建設業者の成績表を作成します。経営事項審査を受ける前に、経営状況分析を申請して、Y点を算出する必要があります。

経営状況分析の審査項目

経営事項審査に必要な結果のY点とは、経営状況を審査する経営事項審査のY評点のことです。

  • 経営事項審査のY評点は、次の8つの指標から算出されます。
    • 自己資本比率
    • 利益率
    • 労働生産性
    • 純支払利息比率
    • 売上高経常利益率
    • 労務費総額/総資産
    • 完成工事高(2期平均)
    • 総資本(2期平均)

Y評点は、0点から1,595点の範囲で算出されます。

Y評点が700点以上の場合は、経営状況が良好であると評価されます。

経営事項審査では、Y評点が700点未満の場合、経営状況が良好とは評価されず、公共工事の入札参加資格が制限される場合があります。

経営状況分析の実施機関について

  • 経営状況分析の実施機関としては国土交通大臣の登録を受けた登録経営状況分析機関が行うことになっています。登録機関は次の通りです。
    • (一財)建設業情報管理センター
    • (株)マネージメント・データ・リサーチ
    • ワイズ公共データシステム(株)
    • (株)九州経営情報分析センター
    • (株)北海道経営情報センター
    • (株)ネットコア
    • (株)経営状況分析センター
    • 経営状況分析センター西日本(株)
    • (株)日本建設業経営分析センター
    • (株)建設システム
    • (株)建設業経営情報分析センター

経営状況分析に必要な書類

  • 経営状況分析に必要な書類は次の通りです。
    • (ア)経営状況分析申請書
    • (イ)財務諸表
      •  貸借対照表
      •  損益計算書
      •  完成工事原価報告書
      •  株主資本等変動計算書
      •  注記表
      •  兼業事業売上原価報告書
    • (ウ)税務申告書
    • (エ)前々期の当期減価償却実施額のわかる書類
    • (オ)建設業許可通知書の写し

経営事項審査の申請について

経営事項審査のP点算出について

経営事項審査の総合評定値のP点は、経営規模、経営状況、技術力、その他の審査項目(社会性)を総合的に評価した点数のことです。

経営事項審査は、公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者が受けなければならない審査になります。

この審査では、建設業者の経営状況を客観的に評価して、公共工事を適切に実施できる能力があるかどうかが判断されます。

  • 経営事項審査の総合評定値のP点は、次の評価項目の点数を合計して算出されます。
    • 経営規模(X1、X2)
    • 経営状況(Y)
    • 技術力(Z)
    • その他の審査項目(社会性)(W)

各評点については、制度設計時点で700点が平均になるようになっています。

X1:完成工事高
X2:技術者数
Y:自己資本比率、利益率、労働生産性
Z:施工管理技術者数、施工技術力、技術開発力
W:労働福祉の状況、若年の技術者及び技能者の育成及び確保の状況、知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況、地域貢献の状況
総合評定値のP点は、公共工事の入札参加資格の格付けに用いられます。総合評定値のP点が高いほど、入札参加資格の等級が高くなり、より高額な工事の入札に参加できるようになります。

経営事項審査に必要な書類

  • 一般的な経営事項審査に必要な書類は、次のとおりです。
    • 経営事項審査申請書
    • 決算報告書一式(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、注記表)
    • 経営規模等評価申請書
    • 工事種別完成工事高・工事種別元請完成工事高
    • 技術職員名簿
    • その他の審査項目
    • 経営状況分析結果通知書
    • 継続雇用の技術職員名簿
    • 建設機械の保有状況一覧表

これらの書類は、経営事項審査を実施する機関、たとえば、国土交通省地方整備局、都道府県知事、政令指定都市、特別区、市町村のホームページで、その様式が公開されています。

経営事項審査は、業種ごとに審査項目や必要書類が異なる場合があります。詳細は、経営事項審査を実施する機関に問い合わせます。

経営事項審査に必要な書類の概要

  • 経営事項審査に必要な書類は次のとおりです。
    • 経営事項審査申請書
      • 経営事項審査の申請を行う時に提出する書類になります。会社概要や代表者、技術者、建設機械などの情報を記載します。
    • 決算報告書一式
      • 直近3事業年度の決算報告書になります。
      • 貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、注記表の4種類を提出します。
    • 経営規模等評価申請書
      • 経営規模等評価を受ける時に提出する書類です。会社概要や建設機械などの情報を記載します。
    • 工事種別完成工事高・工事種別元請完成工事高
      • 直近3事業年度の工事種別別の完成工事高と元請完成工事高です。
    • 技術職員名簿
      • 直近3事業年度に在籍していた技術職員の情報を記載します。
    • その他の審査項目
      • 経営状況分析結果通知書、継続雇用の技術職員名簿、建設機械の保有状況一覧表などの書類です。

経営事項審査は、公共工事を発注者から直接請け負う際に必要な審査です。必要な書類を正しく提出し、審査に合格して、公共工事の入札に参加しましょう。

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