経営事項審査とは
経営事項審査とは、公共工事の入札に参加する建設業者の企業規模や経営状況などの客観事項を数値化した審査のことです。
略して経審(けいしん)とも呼ばれています。
建設業者は、公共工事の発注者から直接に仕事を請け負おうとする場合であれば、必ずこの審査を受ける必要があります。
審査によって、経営状況や経営規模が客観的に評価されて、点数化されています。その点数を総合評定値(P点)と呼んでいます。
建設業者は、総合評定値(P点)を取得して、公共工事の発注者に提出することになっています。
毎年公共工事を請け負うのであれば、定期的に経営事項審査を必ず受ける必要があります。
経営事項審査の総合評定値
経営事項審査の総合評定値(P)とは、経営規模、経営状況、技術力、その他の審査項目(社会性)を総合的に評価した点数になっています。
・総合評定値は、経営規模や技術力などが業種によって異なるために、申請業種ごとに算出されます。
・総合評定値は、経営状況分析(Y)の結果と経営規模等評価(X、Z、W)の結果によって算出されます。
・総合評定値は、許可行政庁(東京都の場合)に経営規模等評価(X、Z、W)の申請をした建設業者から請求があった場合のみ、通知されます。
・総合評定値は、各会社の順位を客観的に表すための指標として使われます。この指標が高ければ高いほど、より大きい公共工事の入札に参加できることになっています。
この値が高くなるように各社はしています。
・総合評定値の最低点は-18点です。
その他評点Wのマイナス点は、そのまま総合評定値Pの算出に使用されます。これによって、総合評定値Pの計算上の最低点は、-18点となります。
社会保険未加入業者や法律違反業者への減点措置で厳格化を目的としています。
経営事項審査を受けるのであれば、総合評定値(P点)の点数は、高いほうがよいことになります。できれば、1点でも高いP点を取得したいということになります。
経営事項審査のランク
一般的には、Aランクは、7億2,000万円以上で、Bランクは、7億2,000万円まで、Cランクは、3億円まで、Dランクは6,000万円までの工事が受注できるとされています。
原則としては、格付けされた工事しか受注することができません。
たとえば、年間売上が1億円のDランクの会社は10億円の工事は行うことはできないことを意味しています。
経営事項審査申請
経営事項審査申請(経審)とは、公共工事を発注者から直接請け負う建設業者が受けなければならない審査のことです。
経審では、「経営規模等評価結果通知書」と「総合評定値通知書」の両方、あるいはいずれか一方の発行を要求しています。
経審の申請は、決算が終了した後に、建設業許可申請をした都道府県で行います。
申請の順序は次のとおりとなります。
(1)確定申告
(2)経営状況分析申請
(3)決算変更届の提出
(4)経審の申請
経審の必要書類は次のとおりとなります。
・経営事項審査確認書
・総合評定値請求書・経営規模等評価申請書
・工事種別完成工事高・工事種別元請完成工事高
・技術職員名簿
・その他の審査項目
・経営状況分析結果通知書
・継続雇用の技術職員名簿
・建設機械の保有状況一覧表
経営事項審査申請は、公共工事を継続して受注したい場合には、毎年1回受審する必要があります。
具体的には、公共工事の発注者と請負契約を締結する日の1年7カ月前の日の直後の事業年度終了の日以降に結果通知書の交付を受けていることが必要となっています。
経審の審査基準日は、原則として申請をする日の直前の事業年度終了日、直前の決算日になります。
経営事項審査結果の見方
経営事項審査結果通知書、正式名称としては「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」には、6つの数値が記載されています。
そのうちで、最も重要な数値は左端の総合評定値(P)です。
このP点が業者としての点数となり、入札業者のランク付けに使用されています。
P点は、各業種ごとに点数が付けられます。
たとえば、建築一式工事〇〇点、内装工事〇〇点のように、各工事ごとに点数が付きます。
総合評定値(P点)は、経営規模(X1、X2)、経営状況(Y)、技術力(Z)、その他の審査項目(社会性等)(W)の4つを評価項目として、それぞれ点数化したものを総合的評価した値です。
P点は、X1、X2、Z、Y、Wという5つの要素それぞれの点数に0.15や0.25などの掛け率を掛けて、合算して算出されます。
この指標が高ければ高いほど、より大きい公共工事の入札に参加できることになります。