経営事項審査とは
経営事項審査とは、建設業における公共工事の入札に参加する建設業者の企業規模や経営状況などの客観事項などを数値化した建設業法で決められている審査のことです。
経営事項審査を受けなければ、直接請け負うことができないとされる工事である公共工事とは、次の発注者が発注する施設、または工作物に関係する建設工事で、建設工事1件の請負代金額が、500万円以上、建築一式工事の場合は、1500万円以上のものになってしまいます。その金額以上の公共工事を入札するのであれば、経営事項審査は避けて通れません。
総合評定値P点について
総合評定値P点は、経営規模(X1、X2)、経営状況(Y)、技術力(Z)、その他の審査項目である社会性など(W)」の4つを評価項目として、それぞれを点数化したものを総合的評価した値ということになります。
経営事項審査の結果である、この総合評定値P点を有利なように調整すること、選択することもできます。
経営事項審査では、完成工事高を2年平均にするのか、もしくは3年平均にするのか、さらに、自己資本額を基準決算にするのか、もしくは2期平均にするのかによって、このP点が変わってきます。
これらの変数を選択をすることは、自分の会社の業績によって、P点が下がってしてしまうこともあれば、あげることも可能であることを意味します。
たとえ、会社の業績が悪くなっていたとしても、経営事項審査の内容によっては、P点が悪くなりにくくすることも可能になっています。
完成工事高の2年平均・3年平均、自己資本額の基準決算・2期平均の組み合わせによっては、P点が下がることを防止することもできます。
総合評定値P点の悪化を改善する方法
会社の財務諸表においては、完成工事高が多いときより、かなり減少してしまうこともあります。
不景気や、災害、コロナ禍などで、受注工事が無くなってしまった場合などもあるので、P点が悪化して、公共工事への参入もできない状態になることもあります。
例:過去3期分の経営状況
たとえば、過去3年間分の経営状況が次のようであったとします。経営事項審査においては、完成工事高を2年平均、もしくは3年平均、自己資本額を基準決算もしくは2期平均と選択し分けることができます。
事業年度 完成工事高 自己資本額
前々期 400,000千円 40,000千円
前期 200,000千円 20,000千円
今期 150,000千円 10,000千円
完成工事高の選び方
2年平均の場合
まず、完成工事高について2年平均を選択した場合は、今回の経営事項審査での完成工事高は(150,000千円+200,000千円)÷2=175,000千円、になります。
3年平均の場合
完成工事高について、3年平均を選択した場合、今回の経営事項審査での完成工事高は(150,000千円+200,000千円+400,000千円)÷3=250,000千円、にすることができます。
2年平均と3年平均の比較
解体工事の完成工事高が、175,000千円と250,000千円とでは、250,000千円千円のほうが、経営事項審査を受審する場合に、当然、有利となります。経営事項審査では、完成工事高は「2年平均」ではなく「3年平均」を選択するようにします。
自己資本額の選び方
基準決算の場合ですが、自己資本額については、基準決算を採用した場合であれば、提出する経審の自己資本額は、10,000千円になります。
2期平均の場合には、自己資本額について、2期平均を採用した場合であれば、提出する経審の自己資本額は、(10,000千円+20,000千円)÷2=15,000千円 になります。
基準決算と2期平均の比較
自己資本額が、10,000千円と15,000千円とでは、15,000千円のほうが、経営事項審査を受ける場合において、有利となりますので、経営事項審査では、自己資本額は基準決算ではなくて、2期平均を選択することにします。
自己資本額の場合には、3期平均というのはありませんので、基準決算か、2期平均かのどちらかを選択することになります。
自己資本額は基準決算にするか、2期平均にするかは、どちらでも、選択することが可能になります。
組み合わせ
完成工事高の2年平均もしくは3年平均と自己資本額の基準決算もしくは2期平均の組み合わせ方は、全部で4とおりとなります。