大規模の建設業者、全国に営業所があるような大臣許可業者の場合、技術職員の人数が多くなります。資料の準備もたいへんになります。技術職員の数は経営事項審査の結果に影響を与えることになります。
小さな建設会社であれば、技術職員の人数は、1人のところもあれば、多くても2~3名のところが主流ですが、いずれにしても技術職員の数で、経営事項審査の点数が変わってきます。
経営事項審査とは
経営事項審査とは、建設業において、公共工事の入札に参加する建設業者の企業規模、経営状況などの客観事項を数値化した建設業法に規定する審査のことです。略して経審とも呼ばれています。
公共工事を請け負おう場合には、建設業者は受けなければならない審査となっています。公共工事の各発注機関は、競争入札に参加しようとする建設業者について、資格審査を行うこととされており、当該発注機関は客観的事項と主観的事項の審査結果を点数化して、順位付けを行い、格付けを行います。
総合評定値(P)の算出について
経営事項審査は、経営事項審査の結果である総合評定値(P点)を算出するために実施します。
このP点は、いろいろ審査項目を計算して算出されます。
(項目区分)経営規模 経営規模
(審査項目)X1 完成工事高(業種別)、X2 自己資本額、利払前税引前償却前利益の額
(項目区分)技術力Z 技術職員数(業種別)
(審査項目)元請完成工事高(業種別)
その他の審査項目(社会性等)W
(審査項目)労働福祉の状況
建設業の営業継続の状況
防災活動への貢献の状況
法令遵守の状況
建設業の経理の状況
研究開発の状況
建設機械の保有の状況
国際標準化機構が定めた規格による登録の状況
若年の技術者及び技能労働者の育成及び確保の状況
知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況
経営状況経営状況
(審査項目)Y
負債抵抗力
収益性・効率性
財務健全性
絶対的力量
総合評定値(P)=0.25(X1)+0.15(X2)+0.20(Y)+0.25(Z)+0.15(W)
経営事項審査を受審する会社の技術職員の人数は、技術職員数(業種別)という審査項目になっており、経営規模等の技術力=Zとして、評価の対象になっています。
Zは、ほかの審査項目のX1、X2、Y、Wとともに計算式にあてはめられますので、経営事項審査の結果である総合評定値(P点)の算出に影響してきます。
P点(総合評定値)を算出する際のZの割合は25%となっており、ほかの審査項目に比べてウエイトが高くて、重要な指標となっています。
技術職員の数が多いほど、経営事項審査の点数が高くなるようにできています。
技術職員の評点の内訳
経営事項審査では技術者は、資格で全部同じに評価されるわけではありません。
評点 技術職員区分資格
6点 1級監理受講者
技術者を対象とする国家資格の1級又は技術士法に基づく資格を有し、かつ監理技術者資格者証の交付を受けているもの
5点 1級技術者
技術者を対象とする国家資格の1級を有するもの(上記を除く)。技術士法に基づく資格を有するもの(上記を除く)。
4点 監理技術者補佐
監理技術者を補佐する資格を有するもの
3点 基幹技能者等
登録基幹技能者講習の修了証
能力評価基準によりレベル4と判定された者
2点 2級技術者
能力評価基準によりレベル3と判定された者
技術者を対象とする国家資格の2級を有する者
技能者を対象とする国家資格の1級を有する者
1点 その他技術者
技能者を対象とする国家資格の2級
実務経験による主任技術者
このように難易度の高い資格が、点数が高くなっています。
技術者の数が多ければ多いほど、証明資料も多くなる
上記のように、経審の申請の際には、技術職員の人数が多ければ多いほど有利で、より難易度の高い国家資格を持っている人が多いほうが有利といった特徴がありますが、経営事項審査の関係で提出する資料も多くなります。