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東京都内の市区町村の公共工事への入札と経営事項審査について

経営事項審査

東京都内の区市町村の公共工事への入札は、以下の方法で実施されます。

入札参加資格の取得

入札に参加するには、入札参加資格が必要です。

入札参加資格は、東京都の東京電子自治体共同運営電子調達サービスから電子申請で取得できます。

…と書いたら簡単すぎますね。実際は相当にハードルがあります。極論、東京都を制する者日本を制するくらいの難解さです。

まず、この電子申請には、電子証明書が必要です。

東京都はICカードを使った電子証明書が必須です。行政書士だと暗号キーをUSBメモリに入れた電子証明書を使いますが、それではダメだということです。

ICカードは下記のリンクに掲載された会社で購入できます。ちなみに、私の出身会社ではAOsignを使ってました。

電子入札コアシステム対応の民間認証局お問い合わせ一覧|電子入札コアシステム(JACIC)
電子入札コアシステム

なお、電子入札も同じカードが使えます。なので、入札するならICカード導入しましょう。東京都に限らず、電子入札採用してる官公庁ならだいたい使えます。設定のサポートもできます。


東京都では、共同受付を採用しています。

入札参加資格申請は、申請書の受付方法として、共同受付個別受付に、大きく分かれます。

共同受付は売上や財務内容、保有資格のような共通部分を1回の手続きで完了させて、各自治体向けの申請書は別途書類を提出(ほとんどが郵送)します。

自治体1つ1つに同じ内容を記載して提出する個別受付に比べ、共同受付は入力に関する部分の手間は大幅に削減されます。(郵送する手間は申請先の自治体数分発生します)

共同受付の範囲は都道府県によってまちまちで、個別受付しかない県も東北や九州・沖縄を中心にあります。首都圏各都県は対象自治体が全部か一部かはともかく、どこも共同受付を採用しています。(対象外となってる自治体は、個別受付となり、自治体ごとに募集期間が決まっています)


入札参加資格申請は、対象業種の区分として、大きく工事物品・役務に分かれます。

東京都の場合、工事のカテゴリに設計・測量・地質調査や大型船舶修繕が含まれています。設計・測量・地質調査や大型船舶修繕は、建設業法上は非工事=役務として扱われますが、このような業種分類の揺らぎは、東京都に限らず、どこでもあるので注意が必要です。

申請条件として、以下のルールがあります。

  • 確定している決算があること
    • 会社分割・合併・株式移転などを除き、完全な新設会社で決算がない場合は申請できません。
  • 東京都と契約する営業所で必要な許可、および工事は申請日時点で有効な経審を受審していること
    • たとえば大阪本社で東京支店は物品販売しかできない場合、工事の申請はできません。東京を管轄する営業所に必要な許可を持ってることが必要です。
    • 東京都に限らず、経審を受けて結果通知書を持ってないと、官公庁の入札参加はほぼできません。
    • 東京都では、会社分割・会社合併・事業譲受などで会社を新設した場合は、特殊経審を受審することが必須となっています。(特殊経審について、何?と思った方は、個別にご相談ください。出身会社で作成実績あります)
  • 社会保険・雇用保険に加入していること
    • 建設業許可では適用除外の場合を除き必須とされる、社会保険や雇用保険の加入が、東京都の工事カテゴリで扱うすべての業種に義務化されています。東京都(および各市区町村)で設計・測量・地質調査・大型船舶修繕を受注したい場合は、ご注意ください。

さて、東京都が「ハードル高い」理由は、経審受ければ点数書いて終わり!ではないということです。(個別受付の場合、ほぼ点数書くだけの場合が多いです)

東京都(および共同受付を採用する各自治体)は業種分類の細かさと、徹底した格付設定が特徴です。

業種分類は、すいませんリストを書き起こすのがとても困難なので、下記のリンクをどうぞ。

https://www.e-procurement.metro.tokyo.lg.jp/html/shikakushinsa1/zuiji-tantai03.pdf

コードが01~98と9901~9933と、100種類以上にわたる、おそらく誰もが発狂するレベルの分類を、申請者はセルフで分類する必要があります。(なお、ある程度工事内容のレクチャーをいただければ、オプション料金で私が分類することもできます)

案件を東京都が指定する方法で分類した時、売り上げゼロになる業種は、無格付け(X)とされ、ほぼその格付けで発注されないと言われています。東京都に限らない話として、実績のない業種で仕事がもらえる可能性はゼロに近いです。また、下水処理場の水処理設備(機械)の工事は下水道施設工事!って集計しちゃうと、全部誤りなので無格付けXです。(東京都の下水道施設工事は、許可業種でいうと土木)なんとなく、ハードル高いのわかります?

東京都では、経審点数、業種分類の売上高、そして、「最高完成工事経歴」などをもとに、格付けを設定します。この「最高完成工事経歴」は、申請業種ごとに、過去3年以内の「完成工事」(工事進行基準・収益認識基準を採用している場合は、当期の売上高と関係ないことにご注意ください)を、コリンズなどの証明書類添付の上で申請します。ここを書き忘れると無格付けXです。

で、最終的に、ABCDXの格付けが設定されます。東京都では、格付けごとに受注可能額が決まっているだけでなく、調達サイトの一覧に受付格付けが格付け別に変わります。つまり、Dランクの人は、どう逆立ちしても、Aランクの案件の内容を見ることができないのです。

こんな話は、他ではちょっと聞いたことないです。

対象範囲

東京都の共同受付は、東京電子自治体共同運営協議会によって運営されています。

一部の一部事務組合を含む、59の地方公共団体となります。

  • 区部(23区)
    千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、台東区、墨田区、江東区、品川区、目黒区、大田区、世田谷区、渋谷区、中野区、杉並区、豊島区、北区、荒川区、板橋区、練馬区、足立区、葛飾区、江戸川区
  • 市部(26市)
    八王子市、立川市、武蔵野市、三鷹市、青梅市、府中市、昭島市、調布市、町田市、小金井市、小平市、日野市、東村山市、国分寺市、国立市、福生市、狛江市、東大和市、清瀬市、東久留米市、武蔵村山市、多摩市、稲城市、羽村市、あきる野市、西東京市
  • 町村部(7町村)
    瑞穂町、日の出町、檜原村、奥多摩町、八丈町、青ヶ島村、小笠原村
  • 一部事務組合(3組合)
    • 多摩川衛生組合、多摩ニュータウン環境組合、東京23区清掃一部事務組合

つまり、これ以外の自治体、大島、利島、新島、神津島、三宅島、御蔵島は、個別受付です。

また、一部の一部事務組合では、個別受付を採用している可能性があります。(例規集を見る必要があるので、後日編集。構成自治体の入札参加資格がそのまま使えることが多いです)

http://tsuideni-walking.private.coocan.jp/z_353/z_353.pdf

入札参加の申し込み

入札参加資格申請の申し込みは、期間を基準に大きく定期受付随時受付に分かれます。

定期受付は2年に1回行われます。偶数年の秋に募集公告が出て、1か月程度の期間内に、上記の申請を行います。次回は2024年の秋ごろに、令和7・8年度として募集されます。

随時受付は、定期受付期間以外で、申請を受け付けることです。東京都の場合、奇数年度は随時受付期間となっており、令和6年度(2025年3月31日)まで有効な資格を2024年3月11日まで受け付けています。結構期間長いんですよ。自治体によっては、随時受付ないところも多いです。(注:東京都の随時受付は、東京都発注のみ適用されます!)


東京都および各入札の案件は、電子調達サイトに掲載されます。入札参加資格申請で使用したICカードをセットしないと、ログインして閲覧することができません。ログインした後の画面が、格付け別にフィルタリングされてるという話は、上記の通りです。

https://www.e-procurement.metro.tokyo.lg.jp/ebd/AccNController

一般論的な話になりますが、入札は必ず公告があって、そこに参加資格や入札方法が記載されています。また、日本ではデザインビルドや性能発注の高額案件を除いては設計施工分離が原則なので、工事内容は図面や仕様書が添付されています。

価格入札(一番低い額を入れた業者が落札)でも、見積書に数字を穴埋めして、その額を入札するのが一般的です。

少し高額な総合評価(施工実績や施工体制などを金額とともに点数化して、一番点数が高い業者が落札)の場合は、見積書の他に、過去の施工実績、配置予定技術者の保有資格及び実績、災害協定締結状況など、添付書類が多くなります。

入札結果

各自治体の入札公告に記載された方法で公表されます。落札者は契約手続きを行います。

契約手続きでは、契約書の他に、倒産などの万が一に備えて、請負金額の10%の現金を保証金として納めるか、請負金額の10%の額を補償する履行保証の書類を提出することが一般的です。(ただし、東京都だと免除される場合があります)

また、建設リサイクル法に該当する工事、たとえば改築などでコンクリートの躯体を一部穴開けしますよと言った場合、建設リサイクル法の書類(コンクリート等の搬入先および現場からの距離)を作成して、契約書とともに提出します。

契約手続きが完了すると工事の請負契約が締結されます。

「東京都」と「23区市町村」の違い

東京都内の入札では「都」と「23区・市町村」で制度が違っています。東京都の入札資格があっても、23区・市町村の入札には参加できません。

23区・市町村は、共同受付のデータに加えて、自治体で指定する一定の書類(主に登記事項証明書の写しが多いほか、加点要素になる書類の添付をすることがあります)を郵送する必要があります。

また、23区・市町村は、随時受付を扱ってません。随時受付は東京都発注のみの入札参加資格が得られます。

  • 東京都の発注者はつぎの機関があります。
    • 総務局
    • 財務局
    • 中央卸売市場
    • 建設局
    • 港湾局
    • 環境局
    • 病院経営本部
    • 産業労働局
    • 教育庁
    • 都市整備局
    • 交通局
    • 水道局
    • 下水道局
    • 警視庁
    • 東京消防庁
    • 住宅政策本部
  • 東京都の電子入札に参加するには次の入札資格が必要です。
    • 建設工事等の入札に参加する場合は、東京都建設工事等競争入札参加資格
    • 物品買入れ等の入札に参加する場合は、東京都物品買入れ等競争入札参加資格

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