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建設業許可に際し経営業務管理責任者の要件を満たさない場合の対処方法

建設業許可の申請

経営業務管理責任者の要件

建設業の許可を取得する場合に、問題となることが多いのは経営業務管理責任者の要件です。

  • 建設業許可を取得するには経営業務管理責任者の要件を満たす必要がありますが要件は原則次のとおりです。
    • 建設業に係る経営業務の管理責任者として5年以上の経験を有していること(登記簿、期間中の契約書類で確認します)
    • 破産してないこと、または破産したけど復権を得たこと(身分証明書で確認します)
    • 心身の故障がないこと(登記されていないことの証明書で確認します)
    • 申請日の5年以内に以下の事項がないこと(いずれも調書、誓約書で確認します)
      • 暴力団である(やめた場合も5年経過してない場合は不許可になります)
      • 禁固刑以上(懲役は含まれます)の刑罰に処せられた。(刑罰が終わった日からカウントします。なお、執行猶予の場合は執行猶予の期間終了日からです)
      • 建設業法、建設工事の施工若しくは建設工事に従事する労働者の使用に関する法令の規定で政令で定めるもの、刑法第二百四条、第二百六条、第二百八条、第二百八条の二、第二百二十二条若しくは第二百四十七条、暴力行為等処罰に関する法律で罰金刑に処せられた。(特に後半は粗暴犯と呼ばれるジャンルなので、酔って暴れたとかはご法度です)

経営業務管理責任者に「準ずる地位」とは

経営管理責任者は、建設業法施行規則第7条イ(1)に該当する場合、代表取締役以外でも取締役や令3条の使用人(法人なら主に支店長や営業所長、個人事業主なら登記した支配人)を設定できます。もちろん、代表取締役以外の場合は、その取締役や令3条の使用人名義で契約締結した書類が5年以上必要になります。

一例として、支店を分社化する場合は、支店長が分割前の会社で取締役でなくても、支店長名義で5年分の契約書があれば、支店長が分割会社の経営管理責任者になれます。(で、分割会社の代表取締役となります)

ただし、怖いのは犯罪などをして前述の欠格条件になってしまったときです。運よく許可取消にならずに廃業して許可を取り直すことができた場合になりますが、その時は欠格要件に該当した人を解任する、または平社員にしたうえで(とにかく経営に関与させてはいけません)、代わりに経営業務管理責任者を探す必要があります。

その時、有力候補が取締役や支店長でなかった、とか、経験が足りないとかの問題が出る場合があります。が、一定の場合に、経営業務管理責任者に「準ずる地位」であれば、イ(1)と異なる条件の場合がほとんどですが、経営業務管理責任者の要件にすることができます。

経営業務管理責任者に準ずる地位とは、たとえば法人の執行役員や個人事業主の青色申告専業従事者に記載された人です。

ただし、個人事業主の場合、たとえば東京都のように手引書に個人事業主の場合が書いてないことがあり、そうなるとお断りされる可能性があるので、家族の支配人登記をお勧めします。(登記は司法書士の管轄になります)

「準ずる地位」などで認められる条件は、建設業法施行規則の条文によると、以下の通りとなります。

  • 建設業に関し五年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る。)として経営業務を管理した経験を有する者(7条イ(2))
  • 建設業に関し六年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者(7条イ(3))
  • 建設業に関し、二年以上役員等としての経験を有し、かつ、五年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者(財務管理、労務管理又は業務運営の業務を担当するものに限る。)としての経験を有する者(7条ロ(1)、5年以上の財務管理、労務管理、業務管理の補佐を必ず置くこと)
  • 五年以上役員等としての経験を有し、かつ、建設業に関し、二年以上役員等としての経験を有する者(7条ロ(2)、5年以上の財務管理、労務管理、業務管理の補佐を必ず置くこと)

7条イ(2)については、法人かつ取締役会設置会社に限られます。その中で、建設業に関する経営業務(財務管理、労務管理、業務管理すべてを含みます)について、取締役会決議で取締役会または代表取締役から具体的な権限移譲を受けた執行役員が、その経験が5年分確認できた場合は経営管理責任者となれます。

とても大きい会社で、建設業部門が独立して存在する場合などが考えられます。大事なのは、土木担当、建築担当のような、一部の業種を担当した場合は認められません。

なお、取締役としての経験期間が短い場合、上記に該当する執行役員の期間と合わせて5年以上になる場合も7条イ(2)になります。

7条イ(3)については、個人事業主の専業従事者も含めることができます。会社組織や法人個人を問わず、建設業に関する経営管理責任者の補佐の実態が6年分確認できた場合は経営管理責任者となれます。前述の土木担当、建築担当のような一部業種担当の場合は、6年分必要となります。

7条ロは、(1)(2)どちらの場合でも

  • 建設業における役員等の経験が2年以上あること
  • 業務5年以上の常勤役員等を直接補佐する者の配置

が必要になります。

7条ロ(1)は、役員等に次ぐ職制上の地位、会社でいえば部長が相当すると思います。ざっくり言えば、経理部長、人事部長、経営管理部長みたいなのが該当します。(工事部長も、業務内容でいずれかに該当する業務が含まれれば該当します)この在職歴が5年以上必要です。

7条ロ(2)は、他業種でもいいから、5年以上常勤役員であればいいというものです。

7条ロに共通する事項として、補佐の実務経験が、在職する会社の許可業種(許可前なら会社の実績に関する業種)に限定されるということです。まったく違う許可業種の人をスカウトして配置することができませんし、ついでに許可業種追加しようということもできません。許可業種追加をしたい場合は、


7条イ(2)(3)、7条ロ(1)(2)のどれも、いきなり申請はほぼできなくて、事前確認や個別認定など、名称はそれぞれ大臣や各都道府県知事によって異なりますが、申請前に相談や資料確認が必要となります。

というのも、契約書でその人が契約経験があるかを確認できない場合が多いからです。組織図や取締役会決議、人事異動の通知書、他社の登記簿など、各条件によって決められる資料を積み上げて、経営管理責任者と設定して問題ないかを確認する作業が必要となります。

なので、相談・資料確認が終わってから申請を行うので、期間に相当な余裕(+1か月以上)が必要となります。特に許可更新が絡む場合はご注意ください。

経営業務管理責任者の要件を満たさない場合の対処方法

令和2年10月の改正で7条イ(2)(3)、7条ロ(1)(2)が新設され、経営管理責任者は認定方法がかなり幅広くなりました。

それでも満たせない場合、やはり要件を満たす人を新たに採用する必要が出てきます。それも、できるだけ取締役として。

もちろん、許可取得前でしたら、一番楽なのが契約書で提出できる7条イ(1)なんで、実績5年になるまで待つこともできます。他業種の役員を採用することで7条ロ(2)狙いもいいかもしれませんが、取締役経験者である以上、発言力が逆転する可能性も考慮した方がいいでしょう。

採用の場合、前職の役員登記簿謄本と、前職が建設業の場合は在職中の契約書等の写しを入手する必要が出ます。(個人事業主の経験を含む場合は、期間中の青色申告承認申請書も必要です)

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