建設業の許可要件
経営業務の管理責任者
建設業の許可を受けるには、建設業法第7条に規定する4つの「許可要件」を備えていることと同法8条の「欠格要件」に該当しないことが必要です。
適正な建設業の経営のためには、建設業の経営業務について一定期間の経験を有した者が最低でも1人は必要であるとの判断に基づいて、この要件が定められています。
法人の場合には常勤の役員のうちの1人が、個人の場合には、本人、または支配人のうちの1人が次のいずれかに該当することが必要です。
- 経営業務の管理責任者の設置要件
- 建設業で5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者であること
- 建設業で5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務を管理した経験を有する者であること
- 建設業で6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者であること
- 建設業で2年以上役員等としての経験を有し5年以上役員等または役員等に次ぐ職制上の地位にある者としての経験を有する者
- 常勤役員などを直接に補佐する者として当該建設業者または建設業を営む者において「財務管理の業務経験」「労務管理の業務経験」「運営業務の業務経験」について、5年以上の経験を有する者をそれぞれ置くこと
- 5年以上の役員などとしての経験を有して建設業に関して2年以上役員などとしての経験を有する者
- 建設業の法人の役員とは、次の者のことです。
- 株式会社又は有限会社の取締役
- 指名委員会等設置会社の執行役
- 持分会社の業務を執行する社員
- 法人格のある各種の組合等の理事
専任技術者
建設工事の請負契約の適正な締結、履行を確保するために許可を受けようとする建設業に係る建設工事についての専門的知識が必要になります。
見積、入札や請負契約締結などの建設業の営業は各営業所で行われることから、営業所ごとに許可を受けようとする建設業に関して、一定の資格または経験を有した者(専任技術者)を設置することが必要になります。
- 一般建設業の許可を受ける場合の専任技術者の要件
- 指定学科修了者で高卒後5年以上、もしくは大卒・短大卒・高専卒後3年以上の実務の経験を有する者
- 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関して、10年以上実務の経験を有する者
- 国家資格者
- ※実務経験の場合、専門学校・大学院は、原則ひとつ下の学歴で判断されます。(一部の専門学校では学科により短大卒認定とされる場合があります)
経営業務管理責任者と専任技術者が同一人物の場合
建設業の許可で、経営業務管理責任者と専任技術者が同一人物であっても問題はありません。ただし、下記の条件が必要になります。
- 経営業務管理責任者と専任技術者が同一人物の場合は、次の2つの条件を満たす必要があります。
- 同一の営業所(支店など)に常勤していること
- 経営業務管理責任者としての要件と専任技術者としての要件を両方満たしていること
1つ目の要件である「同一の営業所(支店など)に常勤であること」とは、経営業務管理責任者も専任技術者も、同じ営業所に常勤で働いている必要があるということです。
本社で経営業務管理責任者をしている者が、別の場所にある営業所(支店など)で専任技術者を兼任することはできません。
2つ目の要件である「経営業務管理責任者としての要件と専任技術者としての要件を両方満たしていること」とは、経営業務管理責任者の要件と専任技術者の要件を両方満たしている必要があるということです。
経営業務管理責任者の要件は、建設業に関して5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者、または建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務を管理した経験を有する者となっています。
専任技術者の要件は、建設業に関する専門的な知識や技能を有する者として、建設業法施行令別表第一の表の各項に掲げる建設工事の種類に応じて、学歴、実務経験等の要件を満たす者です。
これらの条件を満たしていれば、経営業務管理責任者と専任技術者は同一人物でも問題なく兼務することができます。
経営業務管理責任者と専任技術者が出向者の場合
出向者であっても許可をとることはできます。
出向元と出向先との間で、出向契約が締結されていて出向を書面で証明できることが必要になります。
出向契約書や出向の覚書が必要になります。
この場合、出向元の経管や専任技術者になることは、できません。