建設業許可を取得する場合は、専任技術者の実務経験の証明で苦労することがあります。
建築士などの資格があれば、比較的容易に建設業許可を取得することもできます。
しかし、資格の取得は簡単ではありませんので、資格なしの場合や指定学科の卒業経歴がないという場合は、建設業許可を取得するには、10年の実務経験を証明することになります。
10年の実務経験証明とは
建設業許可を取得する場合は、専任技術者の配置が必要となって、専任技術者になるには「国家資格」「指定学科の卒業経歴+3~5年の実務経験」「10年以上の実務経験」のいずれかがなければなりません。
「国家資格」や「指定学科の卒業経歴」がなければ、「10年以上の実務経験」を証明しなければなりません。
国土交通省のサイトには次のように記載されています。
一般建設業の許可を受けようとする場合指定学科修了者で高卒後5年以上若しくは大卒後3年以上の実務の経験を有する者
許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関して、高校卒業後5年以上、もしくは大学卒業後3年以上の実務経験を有し、かつ、それぞれ在学中に許可を受けようとする建設業に関係する建設工事ごとに指定された学科(指定学科)を修めている者指定学科修了者で専門学校卒業後5年以上実務の経験を有する者、または専門学校卒業後3年以上実務の経験を有する者で専門士、もしくは高度専門士を称する者
許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関して、専門学校後5年以上の実務経験を有し、かつ、在学中に許可を受けようとする建設業に関係する建設工事ごとに指定された学科(指定学科)を修めている者
許可を受けようとする建設業に関係する建設工事に関して、専門学校後3年以上の実務経験を有し、かつ、在学中に許可を受けようとする建設業に関係する建設工事ごとに、指定された学科(指定学科)を修めている者のうち、専門士、または高度専門士を称するもの
許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関して、10年以上実務の経験を有する者
国家資格者:複数業種に係る実務経験を有する者
国土交通省 https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000082.html
具体的な10年の実務経験証明方法
建設業許可の実務経験とは、許可を受けようとする業種の建設工事の職務経験になります。
業種が同じであれば、どのような技術かは関係ありませんし、問われることもありません。
建設工事の施工経験であれば、現場監督、職人、見習い従事などどの立場でも問題ありません。
実務経験の期間は、指定学科修了の内容と有無によって、3年と5年と10年になります。
実務経験10年:実務経験のみで専任技術者要件に該当
実務経験5年:高校卒業もしくは専門学校卒業があることで主任技術者要件に該当
実務経験3年:専門学校卒業かつ専門士/高度専門士を称する者があることで主任技術者要件に該当
実務経験の証明資料は、契約書、契約書がなければ請書、契約書も請書もなければ請求書+入金通帳という順番でそろえるようにします。
- 10年の実務経験を証明するための資料
- 工事請負契約書
- 注文書・請書
- 請求書と入金通帳(入金記録)
小さい工事、金額の低い工事であったとしても、「契約書」を交わして「注文書・請書」を保存しておきます。
「入金通帳」を処分したり、紛失してしまったりしても、銀行など取引先金融機関から10年をさかのぼって「取引明細書」を発行してもらうことはできます。
工事請負契約書や工事の注文書や請書がなかったとしても、「請求書+入金通帳」があれば、実務経験の証明は可能です。
「入金通帳」を処分してしまったとしても、金融機関から10年分の取引明細を発行してもらえば、その取引明細を「入金通帳」に代わる証明資料として提出することができます。
「国家資格」がなく「指定学科の卒業経歴」がなかったとしても工事請負契約書、請書、
請求書と入金通帳のいずれかによって、10年の実務経験を証明することができます。
「工事請負契約書」も「請書」もなくて「入金通帳」しかないという場合には、「請求書と入金通帳のセット」で10年の実務経験を証明することができます。