国土交通省は、2023年7月1日に建設業許可の要件を緩和する改正建設業法施行令を閣議決定しています。改正は、2024年4月から適用されています。
今回の要件緩和では、建設業への参入しやすさを向上させて、建設業の競争を活性化することを目的としているとのことです。
この緩和に伴って、500万円以上の仕事をしていない建設業者のあいだでも建設業許可を取ろうという人気が高まっています。
技術者の専任要件を緩和
専任技術者の要件については、従来の「常勤」から「週20時間以上」に緩和されました。
これによって、技術者が週あたり20時間以上勤務していれば、専任技術者として認められることになっています。
専任技術者になる要件として、指定学科を卒業していなくても、次の一覧の施工管理技士試験に合格者である場合は、指定学科を卒業した者と同様に、施工管理技士試験合格+実務経験によって、専任技術者の要件を満たすことになります。
同等とみなす指定学科
土木・造園工事施工管理技士:土木工学
建築施工管理技士:建築学
電気工事施工管理技士:電気工学
管工事工管理技士:機械工学
必要な実務経験年数は、一級合格者の場合は大学卒業と同様に3年、二級合格者の場合は高校卒業と同様に5年です。
ここでいう合格者とは、第一次検定合格者のみではなくて、第一次検定のみの合格者(技士捕)も含んでいます。
実務経験
大学・短大卒業(指定学科):卒業後3年
高等学校(指定学科):卒業後5年
一級1次検定合格:合格後3年
二級1次検定合格:合格後5年
上記以外:10年
実務経験による技術者資格要件の見直し(令和5年7月1日施行)
建設業法施行規則の改正により、一般建設業許可の営業所専任技術者要件が緩和されます。
技術検定合格者を指定学科卒業者と同等とみなし、第一次検定合格後に一定期間の実務経験を有する者が当該専任技術者として認められることとなりました。指定建設業(土木一式、建築一式、電気、管、鋼構造物、舗装、造園の7業種)及び電気通信工事業は除きます。
福岡県ホームページ https://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/kensetsugyouhou.html
経営業務管理責任者の範囲を拡大
経営業務管理責任者は、従来の「専任」から「常勤」に緩和されました。
これによって、経営業務管理責任者が週あたり20時間以上勤務していれば、専任経営業務管理責任者として認められることになっています。
保証金の保証割合を緩和
従来の5%から3%に緩和されました。これによって、保証金の金額が減少することになっています。
要件緩和に伴い人気があがっています
建設業許可の要件が緩和されたので、取得のハードルも低くなって、500万円以下の工事であったとしても、建設業許可を持っていない事業者に工事を任せるのは、抵抗があるというか、建設業許可も取りやすくなったので許可を持っている会社を選ぶ会社が多くなっていますし、業者自身も建設業許可をそろそろ取得しようとする業者も増えてきています。
建設業の許可を持っているということは、取締役に5年以上の建設会社経営経験者がいて、技術者は資格を持っているとか、10年以上の実務経験があって、純資産500万円以上の財産的要件を満たしていて、破産者や逮捕者など欠格要件に該当する者がいないということを意味するわけですから、発注する施主もできれば、取得している先が望ましいと考えるようになっています。
建設業許可を持っている会社とそうでない会社があった場合、建設業許可を持っている会社を取引先にしたいと考えるのはあたりまえかもしれません。