特定建設業の許可要件も、一般建設業の許可要件が基礎になっています。
特定建設業の許可を取得すると元請業者として工事を施工する場合、1件の工事で合計4,000万円以上、建築一式工事の場合には6,000万円以上の下請工事を発注することができます。
一般建設業と許可要件が違うのは、専任技術者と財産的基礎の2つだけです。
特定建設業の専任技術者の要件
1級の国家資格を所持していること
一般建設業の専任技術者の国家資格より難易度の高い国家資格を保有していなければなりません。
内装仕上工事の場合であれば、一般建設業であれば建築施工管理技士の2級の資格でよいのですが、特定建設業の場合は建築施工管理技士の1級の資格が必要です。
一般建設業の専任技術者要件+2年以上の指導監督的実務経験
一般建設業の専任技術者の要件のみ満たす者でも、元請として4,500万円以上の工事で2年以上、指導監督的な実務経験を有していれば、特定建設業の専任技術者になることができます。
指導監督的な実務経験とは、主任技術者、または監理技術者として、工事の技術上の管理を総合的に指導監督した実務経験となっています。
主任技術者とは、一般建設業における専任技術者の要件を満たしており、建設業者と直接的な雇用関係にある者です。
監理技術者は、特定建設業における専任技術者の要件を満たしていて、建設業者と直接的な雇用関係にある者です。
特定建設業における財産的基礎の要件
特定建設業の財産的基礎の要件は、許可申請直近の決算で次の3つの要件をすべて満たすというものです。
特定建設業においては、一般建設業とは違って、5年に1度の更新時でも財産的基礎の要件を満たしている必要があります。
欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと
欠損比率です。次の算式を満たしていなければなりません。
(マイナスの繰越利益剰余金-(資本剰余金+利益剰余金+繰越利益剰余金を除いたその他利益剰余金))÷資本金×100≦20%
繰越利益剰余金がプラスの場合や、資本剰余金+利益剰余金+繰越利益剰余金を除いたその他利益剰余金がマイナスの繰越利益剰余金を上回る場合には計算は不要です。
流動比率が75%以上であること
次の算式を満たす必要があります。
流動資産÷流動負債≧75%
資本金が2,000万円以上であって、かつ自己資本が4,000万円以上であること
特定建設業では資本金の要件があって、2,000万円以上の資本金がある必要があります。
自己資本は、一般建設業では500万円でしたが、特定建設業では4,000万円以上なければなりません。
設立初年度の法人では直前の決算がないために設立時の資本金と自己資本で審査されます。
一般建設業許可のない会社
一般的には、一般建設業許可を取得したあとに特定建設業許可を取得するのが、普通ですが一般建設業許可がないと特定建設業許可を取得できないわけではありません。
会社として工事実績がないのであれば、経営業務管理責任者の要件のある者を、会社の取締役に入れなければなりません。
工事実績がなければ、専任技術者の実務経験の証明が難ししいのであれば、1級建築士を採用するということで可能になります。
特定建設業許可の要件を満たしていれば、設立直後の会社であっても、決算をしたことがない会社であっても、特定建設業許可を取得することができます。
まとめ
特定建設業許可の要件は、次の2つとなります。
技術者が1級の国家資格を持っていること
直近の決算で次の4つの財産的要件を満たしていること
欠損の額が、資本金の額の20%を超えないこと
流動資産÷流動負債の比率が75%以上であること
資本金が2,000万円以上であること
自己資本が4,000円以上であること