建設業許可を取得するには、経営業務管理責任者と専任技術者の2つの要件が必要になります。
この要件は、どちらか一方がなくても、許可を取得することはできません。
建設業許可を取得できても、どちらかひとつが欠けてしまうと、許可要件を満たさないために取得した建設業許可を取り下げなければなりません。
再度、あらたに専任技術者を配置して、新しい建設業許可を取り直さなければなりません。専任技術者の要件は、経営業務管理責任者の要件に次いで、建設業許可を取得する場合に、重要となっています。
専任技術者の設置(建設業法第7条第2号、同法第15条第2号)
建設工事に関する請負契約の適正な締結、履行を確保するためには、許可を受けようとする建設業に係る建設工事についての専門的知識が必要になります。
国土交通省 https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000082.html
見積、入札、請負契約締結などの建設業に関する営業は各営業所で行われることから、営業所ごとに許可を受けようとする建設業に関して、一定の資格または経験を有した者(専任技術者)を設置することが必要です。
専任技術者になるには、簡単にまとめると次のとおりとなります。
・施工管理技士などの国家資格があること
・10年以上の実務経験を証明すること
指定学科の卒業経歴がポイント
国家資格も所持せずに、10年の実務経験もない場合には、専任技術者になることはできないかと言えば、そうではありません。
指定学科の卒業経歴を使って、10年の実務経験の証明期間を3~5年に短縮することができます。
建設業許可を取得する場合、専任技術者についは、「国家資格あり」と「国家資格なし」だけの2つで考えるのではなくて「国家資格なし」の場合を「指定学科の卒業経歴あり」や「指定学科の卒業経歴なし」というように分けてみます。
国家資格ありの場合:建築士/施工管理技士など 0年の実務経験
国家資格なしの場合:指定学科の卒業経歴なし 10年の実務経験
指定学科の卒業経歴ありの場合:3~5年の場合
「国家資格あり」と「国家資格なし(指定学科の卒業経歴なし)」、「国家資格なし(指定学科の卒業経歴あり)」で分類するとわかりやすくなります。
指定学科の卒業経歴のある人は、実務経験の証明期間が10年から5年に短縮されます。
指定学科について
指定学科を卒業すると証明する実務経験が短縮されます。
高校の場合であれば、10年から5年へ
大学などの場合であれば、10年から3年へ
工業高校を卒業すれば5年に短縮
建設系の学科の短大高専を卒業すれば3年へ短縮
工学部の建設系の場合、3年の実務経験へ短縮
工業系の専門学校で専門士や高度専門士を取得した場合は、3年に短縮
工業系の専門学校を卒業した場合には5年の実務に短縮
建設系の学校とは、工業高校であれば建設学科や土木学科などの専門学科となります。
大学であれば、工学部の土木工学や建築学、都市工学や機械工学などの学科になります。
短期大学や高専も同じ種類の学科が指定学科となります。
(1)土木一式工事、舗装工事
土木工学(農業土木、鉱山、森林、砂防、冶山、緑地、造園)、都市工学、衛生工学
(2)建築一式、大工工事、内装工事、ガラス工事
建築学、都市工学
(3)左官工事、とび土工コンクリート工事、石工事、屋根工事、タイルレンガブロック工事、塗装工事、解体工
土木工学、建築学
(4)電気工事、電気通信工事
電気工学、電気通信工学
(5)管工事、水道施設工事、清掃施設工事
土木工学、建築学、機械工学、都市工学、衛生工学
(6)鋼構造物工事、鉄筋工事
土木工学、建築学、機械工学
(7)板金工事
建築学、機械工学
(8)防水工事
土木工学、建築学
(9)機械器具設置工事、消防設備工事
建築学、機械工学、電気工学
(10)しゅんせつ工事
土木工学、機械工学
(11)熱絶縁工事
土木工学、建築学、機械工学
(12)造園工事
土木工学、建築学、都市工学、林学
(13)建具工事
建築学、機械工学
(14)さく井工事
土木工学、鉱山学、機械工学、衛生工学