基幹技能者
建設工事で生産性の向上を図って、品質、コストや安全面で質の高い施工をするためには、現場で直接生産活動に従事する技能労働者、職長などの果たす役割が重要になっています。
基幹技能者は、熟達した作業能力と豊富な知識を持って現場をまとめて、効率的に作業をすすめるマネジメント能力に優れた技能者で、専門工事業団体の資格認定を受けた者です。
現場では上級職長などとして、元請の計画や管理業務をしたり補佐することになっています。
録基幹技能者制度
基幹技能者制度は、平成8年に専門工事業団体による民間資格としてスタートして、平成20年に建設業法施行規則が改正されて、新しく登録基幹技能者制度となりました。
国土交通大臣が登録した機関が実施する登録基幹技能者講習の修了者は、登録基幹技能者として認められて、経営事項審査においても評価の対象となっています。
登録基幹技能者の資格要件
登録基幹技能者講習を受講するには、次の要件を満たしている必要があります。
・当該基幹技能者の職種において、10年以上の実務経験
・実務経験のうち3年以上の職長経験
・実施機関において定めている資格等の保有(1級技能士、施工管理技士など)
基幹技能者のメリット
登録基幹技能者は経営事項審査の評価対象となっており、公共工事発注時の総合評価における加点評価対象、元請企業における優良職長制度の手当支給対象ともなっています。
登録基幹技能者制度により、技術者の信頼性や専門性を外部に対して、公平に提示できるようになるというメリットがあります。
主任技術者の実務経験などの要件を書面確認する必要があって、個人の実務経験の具体的な内容を確認することは困難で手間もかかっていました。
登録基幹技能者が主任技術者の要件を満たすことで、主任技術者に技術力が身についていることの証明となって確認の手間が軽減します。
基幹技能者と専任技術者
平成30年4月から、国土交通大臣が認める登録基幹技能者は、建設業許可を取得に必要な専任技術者の要件を満たすこととされました。
専任技術者の要件が証明しやすくなり、建設業許可を取得しやすくなっています。
専任技術者になるには
従来の要件
・建築士や施工管理技士などの国家資格
・10年の実務経験の証明
・指定学科の卒業経歴+3~5年の実務経験の証明
登録基幹技能者も専任技術者になるための資格となり、選択の幅が広がっています。
たとえば、経営業務管理責任者の要件を法人設立後5年の役員経験で証明して、専任技術者の要件を登録土工基幹技能者講習修了証で証明するといったケースです。
登録基幹技能者
登録基幹技能者は、多くの種類がありますが、よく使われる種類は次のとおりです。
大工工事
登録型枠基幹技能者、登録建築大工基幹技能者の2つが、大工工事の専任技術者の要件を満たします。
とび・土工・コンクリート工事
次の14が、とび・土工・コンクリート工事の専任技術者の要件を満たします。
登録橋梁基幹技能者、登録コンクリート圧送基幹技能者、登録トンネル基幹技能者、登録機械土工基幹技能者、登録PC基幹技能者、登録鳶・土工基幹技能者、登録切断穿孔基幹技能者、登録エクステリア基幹技能者、登録グラウト基幹技能者、登録運動施設基幹技能者、登録基礎工基幹技能者、登録標識・路面標示基幹技能者、登録土工基幹技能者、登録圧入工基幹技能者
管工事
登録配管基幹技能者、登録ダクト基幹技能者、登録冷凍空調基幹技能者の3つが管工事の専任技術者の要件を満たします。
塗装工事
登録建設塗装基幹技能者、登録外壁仕上基幹技能者、登録標識・路面標示基幹技能者の3つが、塗装工事の専任技術者の要件を満たします。
防水工事
登録防水基幹技能者、登録外壁仕上基幹技能者の2つが防水工事の専任技術者の要件を満たします。
タイル・レンガ・ブロック工事
登録エクステリア基幹技能者、登録タイル張り基幹技能者、登録ALC基幹技能者の3つがタイル・レンガ・ブロック工事の専任技術者の要件を満たします。