建設業許可を取得したり維持するには、経営業務管理責任者と専任技術者といった要件が必要になります。
転職などの異動、不幸にも病気や事故などの事情で、退職してしまうこともあります。
病気や事故で、後任人事ができずに建設業許可を一時的にでも取り下げなければならないということもあります。
専任技術者の要件
国土交通省のサイトでは次のように説明されています。
建設工事に関する請負契約の適正な締結、履行を確保するためには、許可を受けようとする建設業に係る建設工事についての専門的知識が必要になります。
国土交通省 https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000082.html
見積、入札、請負契約締結等の建設業に関する営業は各営業所で行われることから、営業所ごとに許可を受けようとする建設業に関して、一定の資格または経験を有した者(専任技術者)を設置することが必要です。
この専任技術者は、許可を受けようとする建設業が一般建設業であるか特定建設業であるか、また建設業の種類により、それぞれ必要な資格等が異なります。
専任技術者は「営業所ごとに専任の者を設置」することとされていますので、その営業所に常勤していることが必要です。
経営業務の管理責任者と同様、専任技術者の設置も許可要件の1つであるため、許可を取得した後に専任技術者が不在となった場合は許可の取消しの対象等になるので、注意することが必要です。
一般建設業の許可を受けようとする場合
・指定学科修了者で高卒後5年以上、もしくは大卒後3年以上の実務の経験を有する者
・建設工事で、高校卒業後5年以上、もしくは大学卒業後3年以上の実務経験があり、指定学科を修めている者
・指定学科修了者で専門学校卒業後5年以上実務の経験のある者、または専門学校卒業後3年以上実務の経験を有する者で専門士、もしくは高度専門士
・専門学校後5年以上の実務経験があり、指定学科を修めている者
・専門学校後3年以上の実務経験があり、指定学科を修めている者のうち、専門士は高度専門士
・建設工事に関して10年以上実務の経験を有する者
・国家資格者
・複数業種に係る実務経験を有する者
具体的な対応
後任者がいる場合
専任技術者の要件を満たす者がいる場合は、新しい専任技術者に交代するものとする内容の変更届を、各都道府県に提出すれば手続きは完了して、特に問題はありません。
専任技術者となる人が要件となる国家資格があるのであれば、その資格を証明するために資格証の写しを提出します。
また、実務経験のある人が専任技術者となる場合は、その実務経験の証明書が必要となります。
変更届は、専任技術者の変更があってから14日以内に提出しなければなりませんので注意が必要です。
後任者がいない場合
専任技術者の要件を満たす人がいない場合には、まずは、ほかの営業所などから専任技術者となることができる人を配置できないかさがしてみます。
ただし、特に注意が必要なのは、複数の営業所で専任技術者を兼務することはできないので専任技術者となっていない者から選ばなければなりません。
専任技術者の要件を満たす人がいない場合には、専任技術者が退社していなくなったことの届出書を提出することとなります。
届出書は、退社してから14日以内に届け出る必要があります。
届出書を提出すると、建設業の許可を取り消されるので、廃業届を提出することになります。
ただし、廃業届は事業をやめることを届け出るものではありません。
後々、要件を満たすことができた場合は許可申請をすることができます。
建設業の許可は、下請契約の規模等により「一般建設業」と「特定建設業」の別に区分して行います。この区分は、発注者から直接請け負う工事1件につき、4,500万円(建築工事業の場合は7,000万円)以上となる下請契約を締結するか否かで区分されます。
国土交通省 https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000080.html
また、直接請け負う工事1件につき、4,500万円(建築工事業の場合は7,000万円)未満の場合には、引き続き仕事をすることができます。
なお、建設業許可の要件である専任技術者は、国家資格者しかなれないというわけではありません。
国家資格を持っていると、証明が比較的簡単というだけであって、国家資格者を採用しなければならないというわけではありません。
専任技術者になれるのは、国家資格者や指定学科を卒業している人だけではありません。国家資格や指定な学科の卒業経歴がなくても10年の実務経験を証明できれば、専任技術者になることができます。
会社に入社して、10年以上経過する従業員がいれば、その方を専任技術者として、後任にすることもできます。