建設業許可の取得で最も重要な要件のひとつに経営業務管理責任者があります。
経営業務管理責任者は、人が任命されているわけですから、退職などの理由で、経営業務管理責任者の変更や交代の必要が出てくることもあります。
経営業務管理責任者は、建設業許可の重要な要件ですから、任命・配置ができないと許可の取消しで建設業の廃業となる危険が出てきます。
経営業務管理責任者とは
経営業務の管理責任者は、建設業の許可を受けるためには、主たる営業所に常駐させておかなければなりません。
国土交通省のサイトでは、次のように説明されています。
建設業は一品ごとの注文生産であり、一つの工事の受注ごとにその工事の内容に応じて資金の調達、資材の購入、技術者及び労働者の配置、下請負人の選定及び下請契約の締結を行わなければならず、また工事の目的物の完成まで、その内容に応じた施工管理を適切に行うことが必要であることから、適正な建設業の経営を行うため課せられている要件
経営業務の管理責任者について https://www.mlit.go.jp/common/001236200.pdf
経営業務の管理責任者は、次のいずれかの要件を満たす必要があります。
(1)許可を受けようとする建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
(2)許可を受けようとする建設業以外の建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
(3)許可を受けようとする建設業に関し経営業務の管理責任者に準ずる地位にあって次のいずれかの経験を有する者
・経営業務の執行に関して、取締役会の決議を経て取締役会、または代表取締役から具体的な権限委譲を受け、かつ、その権限に基づいて、執行役員等として5年以上建設業の経営業務を総合的に管理した経験
・6年以上経営業務を補佐した経験
個人事業主の場合には、事業主本人が就任するのが一般的になっています。法人の場合では、株式会社の場合、常勤取締役などが一般的で、合同会社であれば、業務執行社員が就任するのが一般的です。
法人の役員でなくても、個人事業主としての経験が5年以上あれば、経営業務管理責任者の要件を満たすことができます。5年以上の個人事業主としての経験は、税務署に提出している確定申告書で証明することになります。
経営業務管理責任者とは、業務を執行する社員、取締役、執行役、もしくは法人格のある各種の組合などの理事など、個人の事業主、または支配人その他支店長、営業所長等営業取引上対外的に責任を有する地位にあって、経営業務の執行等建設業の経営業務について総合的に管理した経験を有する者のことです。
経営業務管理責任者の変更や交代
経営業務管理責任者の変更や交代の重要な条件としては次の2つがあります。
・要件を満たしている者が、継続していること。
・このことを登記簿謄本、健康保険被保険者証で証明できること。
経営業務管理責任者の人、またはなっていた人とこれから経営業務管理責任者になろうとする人が、継続して在籍していたことが必要になります。
現在経営業務管理責任者の人が退職するとすれば、退職日の次の日には、今後、経営業務管理責任者となる人は在籍していなければなりません。
死亡の場合でも同じことが言えます。経営業務管理責任者の人が亡くなった場合には、次の日には、その代わりの人がいなければなりません。
もし、このように連続して経営業務管理責任者がいないことになるのであれば、経営業務管理責任者の変更手続きは認められずに、許可の要件を満たしていなかったことなってしまいます。
そのために、許可はいったん取り消されて、廃業届を出すことになります。
経営業務管理責任者が亡くなったりして、要件を満たさなくなって、その上、代わりになる人が見つからない場合には、許可を維持できなくなります。廃業届を出すことになってしまいます。
ひとまず廃業届を提出して、経営業務管理責任者の要件を満たす者を社内で探すか、外部で探して外部から入れるしかありません。その後に、新規許可を取得するということになります。
経営業務管理責任者の交代で重要なこと
経営業務管理責任者の要件を満たさなくなって建設会社の許可が取り消されたり、廃業したりということがないようにするには、常勤の役員を複数名登記しておくことが有効です。
役員登記されているのは、代表取締役社長だけの場合が要注意です。