国の場合や自治体にもよりますが、入札で格付けを変更することはできます。
建設業の格付けとは
建設業の格付けとは、公共工事を発注する官公庁などが、建設会社を売上、利益、資本力や技術力などを総合的に評価して、ランク付けする制度です。
官公庁によって区分方法などは異なっています。たとえば、国土交通省ではA・B・C・Dの4段階に区分されており、一般的な工事では、Aランクは7億2000万円以上、Bランクは7億2000万円まで、Cランクは3憶円まで、Dランクは6000万円までの工事しか受注できなくなっています。
金額は建設会社が請け負った受注金額ではなくて官公庁側が積算した予定価格です。
年間売上が1憶しかない建設会社に10憶の公共工事はできないという考えからできた制度です。会社の規模や技術力に合った工事を受注してもらって税金が有効に使われることを目的としています。
入札で格付けを変更する
入札で格付けを変更するには、現在の格付けを取得する必要があります。
格付けは、都道府県知事から交付される経営事項審査結果通知書に記載されています。通知書がない場合は、都道府県の建設業課に問い合わせて調べておきます。
現在の格付けが無格付の場合には、過去の工事実績がある場合に限って、再審査申請を行うことで、格付けを変更することができる場合があります。
再審査申請を行うには、都道府県の建設業課などに経営事項審査申請書を提出します。
申請書には、最高完成工事経歴などの必要書類を添付する場合があります。
最高完成工事経歴は、過去に請負った工事の請負金額です。都道府県によっては、最高完成工事経歴の基準が異なるために事前に確認しておきます。
再審査申請の結果、格付けが変更された場合は経営事項審査結果通知書が交付されます。
現在の格付けが格付けありの場合には、格付けを変更する場合、経営事項審査の審査結果を改善する必要があります。
経営事項審査は、経営状態、技術力、財務状況、社会性などの項目について審査が行われます。審査結果を改善するには、これらの項目のいずれかについて改善策を取る必要があります。
経営事項審査の改善策
経営状態の改善:財務状況の改善、経営の安定化、人材の確保・育成など
技術力の向上:技術力・技能の向上、新技術の導入など
財務状況の改善:収支の改善、資金繰りの安定など
社会性の向上:地域貢献活動の実施、環境保全への取り組みなど
改善策をした後は、再審査申請を行って格付けを変更できます。
入札で格付けを変更する
入札で格付けを変更する場合は、次の点に注意が必要です。
再審査申請は、入札公告の日から一定の期間内に行います。
再審査申請にかかる費用は、都道府県によって異なります。
再審査の結果、格付けが変更されないこともあります。
東京都の公共工事の入札資格を持つには、経営事項審査を受けた後に東京都に入札参加資格申請を行います。
入札参加資格を申請して、入札参加資格を取得しても無条件に公共工事の入札に参加できるわけではありません。等級順位という制限があります。
東京都の入札参加資格では、工事は、再審査申請により無格付から格付けありに変更できますが、物品・委託は、変更することができません。
無格付とは
東京都の入札参加資格を取得している事業者は、工事・物品に関わらず、東京都の競争入札参加有資格者名簿に登載されます。
東京都の工事の等級が無格付の場合でも再審査申請をすれば、格付けありに変更できることもあります。
実績がない場合は、格付けありに変更することはできません。公共工事の受注には、過去の実績が重要になってきます。
入札参加資格の承継
競争入札に参加することができる者で、その営業の同一性を失わない営業を引き続き行おうとする個人、または被承継人から承継する営業内容に対応する資格を承継しようとする法人で、次の者は、入札参加資格承継申請書に必要書類を添えて申請します。
個人が死亡したときは、その相続人
個人が法人を設立したときは、その法人
法人が合併、もしくは分割したときは、合併若しくは分割後存続する法人、もしくは合併もしくは、分割により設立した法人
建設工事では、資格を承継した者が有効な総合評定値通知書を有していなければ、自治体と契約を締結することができない場合があります。