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建設業が融資を受けるときは銀行だけなく政府系の基金も考慮しよう

起業支援・融資・補助金

建設業は、資金の使途が明確な上に許可業務ということもあって、比較的融資の審査に通りやすい業種となっています。

融資について

一般的に融資は、設備投資、運転資金など、いろいろな目的で利用できます。自己資金を準備しておくことも重要です。事業計画や決算書も必須となります。

日本政策金融公庫の融資

日本政策金融公庫の新創業融資制度は、創業融資といわれる融資制度なので創業から間もない建設会社であっても、低金利の無担保で、無保証の融資を受けることができます。

民間銀行から融資を申し込んでも、工事などの実績が少なくて信用力がないのであれば、審査には、なかなか通りません。

創業融資であれば、建設業の融資も多くあって、審査については創業前の事業の経験などが重視されていますので、建設業の実績や経験のある経営者であれば、融資も可能になりやすいと言えます。

融資限度額は3,000万円で、そのうち運転資金は、1,500万円となります。

一般財団法人建設業振興基金

建設業振興基金は、建設業の健全な発展のために、行政と協力しながら建設業のニーズに応える融資などの仕事をしています。

融資関連は大きく分けて元請向けの「出来高融資制度」と下請向けの「下請債権保全支援事業」の2通りあります。

特徴としては工事代金の早期受取を目的としたもので、次段に説明するファクタリングに近い性質があります。そのため、通常の融資と違い、事業投資には利用できません。

融資要件は、共通して下記になります。

  • 資本金20億円以下または従業員1,500人以下の建設企業
  • 国土交通省や地方公共団体などが発注する公共工事やインフラ施設などの民間工事(電気事業、ガス事業、社会福祉事業、PFIなど)で、発注者が債権譲渡を認めて、当制度を導入していることが条件
  • 出来高融資制度

主に公共工事で採用されることから、官公庁発注の場合は前払金制度を利用することで請負額の40%以内の額を先に受け取ることが可能です。

しかし、それでも不足する場合、または民間工事で前払金制度が利用できない場合に、出来高に応じた融資を、工事代金の債権譲渡の形式で受けることができます。なお、原則として、出来高が50%を超えた段階で申請ができます。

  • 融資金額

融資金額は、(工事請負金額×出来高-前払金-違約金相当額)×担保掛目で算出されます。

詳細はこちらをご確認ください。

https://www.kensetsu-kikin.or.jp/doc/management/finance/pamphlet_volumeloansystem.pdf

この制度は現状5年ごとに期間延長が行われており、現時点では令和7年度(=2026年3月)まで適用されます。

また、この制度は融資事業者の借入残高証明書を発行することで、経審(正確には経営状況分析)で財務諸表上の借入金から控除ができます。これにより、Y点の上昇(=その0.2倍の点数がP点上昇)が見込めます。

  • 下請債権保全支援事業

下請の場合、前払金制度が適用されず、完成時一括払いとなることが多いです。その際に、元請企業の倒産や不払いなど、回収リスクが発生します。

こちらも出来高融資と同様、工事代金の債権譲渡の形式で行われます。正確には債権の支払保証(元請倒産時のファクタリング会社による債権額支払)と債権買取(債権・手形をファクタリング会社が購入する)の2種類の方式となります。

対象企業には、建設会社の他、「資材企業・建機リース企業も含まれます」。

ただし、元請企業が「保証開始日時点で有効な経審を受審」して、「前年度までに何らかの公共工事受注実績があること」が必要です(他は一般的な与信条件と同様)。ここは注意点です。

元請には債権譲渡実施の通知が行われないので、それによる契約解除も発生しません。

また、債権譲渡にかかる保証料は助成(3分の1または年率1.5%の低い方)による割引後の額が適用されるため、比較的低い手数料で制度利用ができます。

詳細はこちらをご確認ください。

https://www.kensetsu-kikin.or.jp/management/assets_c/638a7e5a9076bb25136a34dad65ef2d11bb07143.pdf

この制度は年度ごとに見直して期間延長が行われています。つまり現時点では令和5年度(=2024年3月)まで適用されます。

個人的な意見ですが、元請より下請の方が立場が弱いので、打ち切りにならないことを強く願っています。

ファクタリングサービス

ファクタリングとは、企業が持っている売掛金を買い取って現金化するサービスのことです。

ファクタリングは資金調達の方法の1つで、売掛債権を利用して資金を調達します。

手数料がかかりますが、売掛金があれば、即座に資金化できるので資金繰りがよくなります。

建設業の支払いは、工事が終わってから1か月~3か月以上となることが多いですが、ファクタリングサービスで、当該の請求書で売掛金の支払期日より以前に資金化することができるために、資金繰りが楽になります。

ファクタリングの融資元は、その売掛金の回収に問題がないかどうか、売掛先を調査して判断します。

ファクタリングの会社の責任で事前に債権の調査をしていますので売掛先の会社が倒産して売掛金の回収が不可の場合であっても、融資元のファクタリング会社から償還を求められることはありませんので、売掛金が未回収になることもありません。

手形割引

建設業は業種が古いこともあって、手形による取引が多い業種となっています。

約束手形は、振り出した個人や法人が、手形に記載されている期日までに支払うことを約束した証券ですが、記載された期日になるまで現金化はできません。

手形割引とは、企業などが回収して持っている約束手形を支払期日が到来するまでに銀行や手形割引業者に買い取ってもらって現金化することです。

銀行や手形割引業者に手形割引の手数料を支払って期日前の手形を現金化することができます。

銀行などからの融資や各種のビジネスローンと比べても、融資の審査に通りやすくなっています。

手形割引の手数料が必要となりますので、手形割引後の受け取れる金額が少し減りますが融資を受けるよりは、審査にも通りやすく、ハードルは低くなります。

ただし、割引といっても、銀行からすれば、融資に変わりはありませんので、手形割引をしようと思っても、手形の振出人やその会社の業績などで断られることもあります。

手形割引は、いわゆる手形買い取りですが、融資とみなされています。

プロパー融資

金融機関の事業融資の場合、信用保証協会の保証などがなくて、100%のその銀行の責任で融資するものがプロパー融資です。

銀行の責任において融資するので、もし返済されなかった場合の貸し倒れのリスクも銀行だけの責任となります。

ただし、審査が厳しくて、実績が高く業績や信用力が求められます。

建築業の場合、たとえば、大規模工事で多くの資金が必要になったときは信用保証付き融資では借入額に上限があるので、融資を受けることがあるので、このプロパー融資を利用したい場面も出てきます。

信用保証協会で保証をしている融資を保証付融資と言います。保証付融資では、もし、借主の返済が滞った場合には、借主に代わって信用保証協会が金融機関に立て替え払いをしてくれます。

保証を利用するには、信用保証料が必要になってきます。

プロパー融資は限度額が設けられていないので、借入額の上限を超えて申し込むことができます。

保証料もなくて、金利も1%以下という融資もあります。銀行の独自の判断で融資審査をしますので融資実行までの時間も短くなることが多いです。

商工中金の危機対応融資

政府系の融資もあります。災害や金融危機などにより、一時的に経営難の企業に対して、低利で融資する制度です。

政府系の商工中金や日本政策投資銀行、国が指定した民間金融機関が融資してくれます。 国が国債でもある財投債を発行して調達した公的資金が原資となっています。

商工組合中央金庫が、新型コロナによって影響を受けて業態が悪化した事業者に対して、危機対応融資による資金繰り支援を実施していました。特にコロナに限らず、さまざまな社会的な危機の場面で利用できます。

信用力や担保に関係なく、一律の金利として融資後の3年間まで0.9%の金利の引き下げを実施します。据置期間は最長で5年となります。商工中金によって危機対応融資の既往の債務の借換えも可能となっています。

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