建設業許可と建築士事務所の同時登録は、別の法律に基づく手続きですが、同時に取得することもできます。
建設業許可と建築士事務所の登録では、それぞれ異なる要件があります。
建設業許可の要件は、経営業務管理責任者の設置、専任技術者の配置、財政的基礎の確保などがありますが、建築士事務所の登録には、建築士の設置、事務所の所在地の確保などがあります。
- 建設業許可取得と建築士事務所の登録で一般的な手続きは次のとおりです。
- 建築士事務所の登録申請
- 建築士事務所の登録通知書の交付
- 建設業許可の申請
- 建設業許可の交付
両方とも行政書士に依頼や相談をすることもできます。
建築士法
平成20年に改正された建築士法の規定によって、建築士事務所を管理する建築士(管理建築士)の要件が強化されています。
事務所登録(新規登録)(法23条、23条の4)(規則18条)
報酬を得て、設計、工事監理などを行う建築士または建築士を使用する者は、それぞれ一級建築士事務所、二級建築士事務所または木造建築士事務所を定めて、その建築士事務所に登録しなければなりません。
登録の有効期間は、5年間です。
満了後、引き続き、設計等を行う場合は、有効期間満了日の30日前までに申請し更新の登録を受けなければなりません。(規則18条)
建築士事務所の管理(法24条)
建築士事務所は、それぞれ常勤で専任の一級建築士、二級建築士、木造建築士が管理しなければなりません。
建築士は、業務の技術的事項を総括します。管理建築士は、受託可能な業務量、業務期間の設定、技術者の選定・配置・監督、業務委託の検討など、必要な意見を述べます。
管理建築士の資格要件(法24条)
管理建築士になるには、建築士事務所での3年以上の設計その他の国土交通省令で定める
業務に従事した後、管理建築士資格取得講習を修了する必要があります。
原則として建築士事務所に所属後、なおかつ建築士免許証、または建築士免許証明書の登録日から受講申込締切日までを業務期間として算入することができます。
建築士免許を所持しているだけでは、建築士事務所登録に必要な要件を満たせません。
建築士事務所登録をするためには、事務所に管理建築士講習を受講した建築士が常勤していることが要件となっています。
- 管理建築士は次の業務に従事した者です。
- 建築物の設計に関する業務
- 建築物の工事監理に関する業務
- 建築工事契約に関する事務に関する業務
- 建築工事の指導監督に関する業務
- 建築物に関する調査又は鑑定に関する業務
- 建築物の建築に関する法令又は条例の規定に基づく手続の代理に関する業務
管理建築士講習は、どの都道府県で受講しても構いません。オンライン上での受講も可能です。
建設業許可の種類
一級建築士、二級建築士および二級建築士で、取得できる建設業許可の種類が違ってきます。
- 一級建築士がいる場合は、次の建設業許可を取得できます。
- 建築一式工事
- 大工工事
- 屋根工事
- タイル工事
- 鋼構造物工事
- 内装工事
- 財産的要件を満たすことによって、特定建設業許可の取得をすることもできます。
- 二級建築士がいる場合は、次の建設業許可を取得できます。
- 建築一式工事
- 大工工事
- 屋根工事
- タイル工事
- 内装工事
- 二級建築士の場合は、特定許可を取ることができません。
- 木造建築士がいる場合は、次の建設業許可を取得できます。
- 大工工事
- 木造建築士は、大工工事の一般建設業許可のみを取得することができます。